中国マニアの日中文化論

中国に関係することをいろいろ書いています。

北京留学中、「在来線寝台車」に乗ってきた。

 中国で旅をしていると、目的地によっては、「列車の中で一泊」なんてこともある。

ガタゴトと一定のリズムを刻み続け、時にフワリと揺れる車内でも、慣れるとよく眠れるものである。

 

 中国の鉄道は、「動車」と「慢車」に分けられる。

日本でいうところの新幹線が「動車」、特急列車が「慢車」である。

「動車」の方は、新幹線と肩を並べる清潔さであるが、特急列車はそうでない。

近年の日本の高級寝台車を天国としたら、中国の「慢車」は地獄である。

旅行者から農民まで、あらゆる人々が乗り、車内は汚く、混沌としている。。

 

 地獄の中にも階層がある。

寝台列車には、「軟臥」「硬臥」がある。

漢字が示すように、「軟臥」のほうが上等だ。

「軟臥」は2段の寝台、「硬臥」は3段の寝台で、上に行くほど揺れがひどく、切符は安い。

「硬臥」の「上」は、スペースが非常に狭く、「気をつけ」の姿勢で、天井とキスしそうな近さで眠りにつくことになる。

「硬臥」の「中」は、スペースの制限からは解放されるが、上からも下からも、通路を歩く人からも、見られやすい位置である。

周りの目線に悩まされる席なので、恥ずかしがり屋さん向けではない。

同様に、「硬臥」の「下」も、みんながおしゃべりに下りてきて、ふとんの上に容赦なく座ってくるので、あまりうれしい席ではない。

 

 切符を買い遅れたな人や、体力自慢の猛者は、「硬座」で夜を明かす。

「硬座」、つまり、寝台車輛でなく、座席である。

さすがにここでは眠れるものも眠れない。

中には、床に毛布を敷いて寝転がるものもいるが、わたしにはやはり抵抗があった。

では、23席使って横たわるのはというと、これもほとんど眠れない。

大人なら1時間と経たず、首や腰に痛みが出て、目が覚める。

 

 もし旅の途中で、車中泊が入ると、座席によるのだが、目的地についた時には大抵疲れている。

「動車」にすればいいのでは?ともいわれるが、『時は金なり、金も金なり』。

できるだけ安いチケットで、時間のロスを削るには、「慢車」に乗るしかない。

こういう背景もあってか、旅行好きの中には、けっこう「慢車・硬臥・中」を選択する人が多いのである。

 

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